震災医療の経験、東北大教授語る 松山で市民セミナー
東日本大震災から5年の節目を迎え、松山市医師会は31日、愛媛県松山市堀之内の市民会館で災害医療をテーマにした市民医学セミナーを開いた。震災当時、宮城県の石巻赤十字病院で救護チームをまとめた東北大病院総合地域医療教育支援部の石井正教授(53)が、市民や医師ら約300人に災害医療に当たった経験を語り、十分な備えを呼び掛けた。
災害時、石巻市内のほとんどの医療施設が機能停止になり、石巻赤十字病院が圏域の初期救護活動を担ったとし「発災から57分で(治療の優先順位を決める)トリアージエリアを病院内に設置でき評価された」と説明。救護活動に追われて、ほかの病院の状況を調査しなかったことを反省点に挙げ「寝たきりなどの療養型の患者らも診にいくべきだった」と語った。
市民には、自助・共助の大切さを強調し「ハザードマップを調べたり、家族で集合場所を決めたりするほか、近隣とのつながりを深めてほしい」と述べた。